朝礼における教育勅語朗読の是非をめぐる国会質疑・答弁

2017 04 07 衆議院内閣委員会
https://www.youtube.com/watch?v=xJMVkf28X2A
より一部文字起こし。

泉 健太(民進)議員による質疑とそれに対する答弁は、1:40:25から2:16:25まで。

答弁の問題点や質疑の課題がどこにあるのかがよくわかる。

明らかな誤記などあれば、ご指摘ください。

                                                • -

泉議員:[2:01:30]あのー、積極的に政府として、現場で活用する考えはない。別に積極的じゃなくても困る話だと思うんです。消極的であっても。官房長官、その積極的にという言葉を使われますけれども、その言葉というのは、ある意味すり替えというか、ちょっと言い訳的なところがありまして、積極的に使うかどうかの論点ではないと思うんです。別に積極的かどうかを問うているのではなくて、やはり衆議院における排除の決議があって、それを踏まえて23年に通知が出ている、にもかかわらず、教育現場で、まあ、教材として使われているという矛盾が生じるんじゃないかと思うんですね。じゃあ、まあ、さらにちょっと前に進めていきたいと思うんですが、ま、えー、ま、そのー、かつて、昭和58年にですね、5月11日参議院の決算委員会の質疑で、えー、本岡昭次さんという国会議員さんが、ある高校をとりあげまして、そこでその高校におけるですね、教育勅語の唱和が行われているということで、朗唱が行われているということで、その時の質疑の資料でまる2の資料で持ってまいりました。ちょっと、コピーが繰り返しで見えにくい字で恐縮なんですが、その中のですね、議事のやりとりで、当時の瀬戸山大臣がお答えになられております。「教育勅語を朗読しないと、 学校教育において使わないことでありますから…」、えー、あ、一番上の、ちょっと緑で線を引いてあるところですね。「自後教育勅語を朗読しないこと、学校教育において使わないこと、また衆参両議院でもそういう趣旨のことを決議されております。でありますから、そういうことで今日まで指導してきておる」と書いてあるわけです。そして、その次の黄色いところですが、「教育勅語そのものの内容については今日でも人聞の行いとして、道として通用する部分もありますけれども、教育勅語の成り立ち及び性格、成り立ち及び性格、そういう観点からいって、現在の憲法教育基本法のもとでは不適切である、ということが方針で決まっておるわけでございます」ということで、ですねえ、この島根県の認可学校ですので、「島根県を通じてそういうことのないように指導をしてくれと、こういうことをいま勧告しておるわけでございまして」というふうに書いております。ですから、文科省は、えー、もしこういったかたちで、えー、教育勅語をですね、えー、朗読しないこと、学校教育において使わないこと、ということで、文科大臣が当時答弁されていますけども、そういうことが教育現場で行われていたとすれば、これは、現在も指導を行うということでよろしいでしょうか。

(注)第98回 参議院 決算委員会 昭和58年5月11日 第11号|国会会議録

秋元委員長:義家副大臣

義家副大臣:[2:04:42]ご指摘の昭和58年の島根県私立高校に関しましては、えー、式日に、えー、教育勅語を朗読するなど教育勅語を我が国の教育の唯一の根本として戦前のようなかたちで教育に取り入れ、指導しているとすれば、問題であるということを島根県を通して指導したものでございまして、これ、あのー、正確に断っておきたいのですが、教科書に載っていることを知識として教える、たとえば、教育勅語というもの自体は無効でございますけれども(泉:それは論点じゃない。)歴史の一つ一つには中身、教訓がありますから、それについて教材として、こういう解説なんだということについては、までは制限されるものではないだろうと思います。式典で戦前のようなかたちでということです。

秋元委員長:泉くん

泉議員:[2:05:34]私も教科書で使われることを全く否定はしていません。はい。その上で、いま、戦前のようなというのが何を指すかというのはですね、これまたよくわからないわけでありますが、当時文科大臣はですね、やはり、成り立ち、経緯からしてということも含めて、「教育勅語を朗読しないこと、学校教育において使わないこと…そういうことで今日まで指導してきておるわけでございます」。で、いまー、ね、私と副大臣が同意をしたように、そういうこの答弁があったとしても、教科書に載っていることを否定していないというのは、私も共通しています。そこはもう論点から省きましょう。そうではないかたちでのこのまさに例示ですね。えー、教育勅語を朗読したり、学校教育において使うと。そうではない、学校の教科書においてではないかたちで使うことについては、これ、指導してきておると、いうふうに言ってますが、その答弁を現在も踏襲しているということでよろしいですか。

秋元委員長:義家副大臣

義家副大臣:[2:06:34]あの、ご指摘の、えー、瀬戸山文部科学大臣の答弁は、式日等における教育勅語の奉読を行わないことなど、教育勅語の取り扱いについて周知した昭和21年の、えー、趣旨を端的にお答えしたものでございます。で、教育基本法に反しない適切な配慮のもとで、教育勅語を声に出して朗読することまで否定されるものではないと考えております。

秋元委員長:泉くん

泉議員:[2:07:02]えとですねー、式日だからということでは、これないはずですよ。議事録をよく読んでいただくと。じゃあ、また、今日、資料を持ってまいりました。まる4。えー、これは、ある幼稚園のホームページであります。最近有名になっている幼稚園でありますので、ご承知かと思いますが、そのホームページに現在もこう載っております。「毎朝の朝礼において、教育勅語の朗唱」ですね。これは…これが事実とすれば、あるいは、ま、これは幼稚園の名前が出ておりますが、その幼稚園に特定をしなくても結構です。毎日の朝礼、毎朝の朝礼において、教育勅語を朗唱するということは、文部科学省の考え方から言って、問題のある行為でしょうか、問題のない行為でしょうか。

義家副大臣:[2:07:56]え、教育基本法に反しない限りは、問題のない行為であろうと思います。(泉議員?:えええ!?)

泉議員:[2:08:06]その教育基本法に反しない限りは、というのは何を指すんですか?

義家副大臣:[2:08:14]あの、教育行政は法律に基づいて行われているものでありまして、憲法の下に教育基本法があり、で、さらにはそれに基づいた学習指導要領があり、そして、教育が担保されているわけでございます。たとえば、読むこと、朗読することのみをもってダメというならば、これは教科書の、教科指導ができません…できません。(泉:教育勅語のですよ。)教育勅語が教科書に載っております。それに対して、声を出して読むことさえ、教育勅語を読んだことだからダメだと言えば、これは、教育はできないというふうに思っております。(泉ほか:毎朝の朝礼。毎朝の朝礼..)それは、それぞれの所轄庁がまずは判断することでございます。(泉?:いやいやいやいや。)[やや、騒然]

秋元委員長:「泉副大臣…あう、泉くん。すみません。」

泉議員:[2:09:00]それはまずいんじゃないですか、というか、文科省、今日、副大臣以外に、答弁できる方おられるんですかね。あの、もう一回聞きますよ。その、毎朝の朝礼において、別にその、なになに幼稚園のということではありません。毎朝の朝礼において教育勅語を朗唱することは、今の文科行政においては問題ないですか?文科省、じゃあ、事務方で結構です。もう一回…

秋元委員長:白間審議官

白間審議官:[2:09:31]いま、あの、副大臣の方から御答弁させていただきましたけれども、個々の学校において、そのどういった教育が行われるかというのは一義的に、それぞれの学校で創意工夫しながら、考えるということでございまして、それについて問題があるかどうか…問題があるかどうかというのは、法令等に照らして問題があるかどうかということについて、もし仮に不適切なものであれば、それは所轄庁である都道府県、設置者において適切に対応されるものだと考えております。

泉議員:だから、不適切なのか、と聞いているんです。

白間審議官:[2:10:02]それについては、都道府県所轄庁等において適切に判断されるべきものと考えております。

秋元委員長:泉くん

泉議員:[2:10:08]え、じゃ、だから、その、昭和58年の時に、所轄庁を通じてなんです。認可学校に対して指導すのは、ね、設置者ですよ。それで、いいんです。文科省は、毎朝朝礼において教育勅語を朗唱している教育機関があっても、それを黙認する。所轄庁に、ま、あのー、設置者に任せて、何も言わないという理解でいいんですか、文科省は。

秋元委員長:じゃあ、白間審議官

白間審議官:[2:10:36] いまご指摘のようなことに関しましては、まず、責任を持っている都道府県所轄庁ないし教育委員会において、適切な判断をし、対応をされるべきものということを申し上げているところでございます。

秋元委員長:泉くん

泉議員:[2:10:50]まずじゃないんですよ、これ。事実を、たとえば、認識していたとしてですよ、文部科学省もその事実を知ったにもかかわらず、まず所轄庁だと言って文部科学省は、所轄庁に対しても何もしないんですか?問い合わせもしない、調査もしない、そして事実が確認されても、何も問題ないということで所轄庁に任せるんですか。

秋元委員長:白間審議官

白間審議官:お答え申し上げます。私が答弁申し上げましたのは、まず、所轄庁において判断すべきということであり、そこにおいても仮に不適切なことがあり、所轄庁において適切な対応がなされないということであれば、それはその際文科省において判断し対応するということだろうと思います。

秋元委員長:泉くん

泉議員:[2:11:38]あのー、私はですね、官房長官、あのー、さきほど冒頭申しましたように、政府はいま、憲法教育基本法をですね、根拠にして、ま、この教育勅語の、まあ扱いの解釈をしておられるわけですが、私が、こう、資料で示させていただいたように、昭和23年の国会決議によって、文部科学省は通達を出しているわけですね。で、そこには、まさに、根拠として衆参の決議があって、それが万全を期されるようにということで通知を出しているわけです。ですから、国会決議は他の国会決議以上に、これは、非常に、政府の行政に密接に関わっている国会決議なんです。国会決議っていうのはさまざま、あ、みなさまもご承知かと思いますが、私も今回のことで、本当にいろいろ勉強させていただきましたけれども、もちろん、そのー、北朝鮮のミサイル発射に対する国会決議もあれば、不信任決議もあれば、一つ一つの重たさというのは、ま、種類も違いますけれども、こと、この23年の国会決議というものは、その国会決議を根拠にして、文科省をして全国の教育機関に通知をされるほどの、徹底をするための国会決議でありまして、で、そういった意味では、これは、いまも有効でなければならないんです。で、その解釈に立っていただかなければいけないと思いますし、そういった意味で、ですから、私は、憲法教育基本法等に反しないようなかたちの中に、国会決議も含まれているんだと、私は例示もしていただきたいくらいですけれども、あらためてですが、憲法や教育基本等に反しないようなかたちの、その等の中には、この23年国会決議、衆参両院の決議が入るということで、官房長官、よろしいですか。

秋元委員長:菅官房長官

官房長官:[2:13:40]え、まず、まあ、戦後の、この教育ですけども、まあ、地方自治を尊重し、そして教育の政治的中立性、それと教育行政の安定というものを確保することを目指し、教育委員会制度が設けられたところであります。それによって、制度設計がなされてきている。ま、政府としても、積極的に教育勅語を現場では活用しない、ここは明確に申し上げました。一方で、教育については、教育基本法の趣旨を踏まえながらも、学習指導要領にしたがって、学校現場の判断で行うべきものであるというふうに考えており、憲法教育基本法等に反しない場合、禁止することは法制上難しいというのが、まあ、見解であります。

秋元委員長:泉くん

泉議員:[2:14:30]私も、あらためてですね、あのー、この学習指導要領、生きる力というものも読ませていただいていますけれども、まあ、教育勅語に書かれていて、まあ、自民党の複数の閣僚の方々がすばらしい、すばらしいとおっしゃられることはですね、たいてい、この指導要領に載っておるわけであります。にもかかわらず、なぜ、教育勅語をですね、引き合いに出さねばならぬのか。ここが、非常に不思議で仕方がないところでありまして、まあ、あえて言えばですね、たしかに、夫婦相和し、というのは今の学習指導要領に書かれているわけではないですね。あるいは、憲法を重んじというのも、別に学習指導要領に書かれているものではない。しかし、いわゆる徳目と言われるものはですね、ある意味で、指導要領には書かれているわけですから、ぜひ、官房長官、あのー、わざわざ教育勅語を引っ張ってくるその意味はなんなんだと、あるいは、なぜその必要があるんだということをですね、ぜひ各閣僚のみなさまにもお伝えをいただきたいと。でなければ、日本の教育は大きく誤解をされてしまう。もう、最後にしますけれども、この衆議院のですね、国会決議の中でも、あの書いてあるのはですね、あのー、「且つ國際信義に対して疑点を残すもととなる」という表現があります。ですから、臣民と呼ばれるかたちでですね、朕思うにから始まるこの教育勅語がですね、え、我が国が主権在君国家であることの象徴であるし、ま、それが教育の現場で使われるということが「國際信義に対して疑点を残す」ということまで想定をしてこの決議を作っておりますので、ぜひそういったことで閣僚への徹底をお願いして私からの質問を終わらせていただきます。