労働法教育見学こぼれ話

 久々の更新、めっちゃ軽め。

 今週月曜日、神奈川県のとある公立高校を訪問して、労働法教育の授業を見学した。この道で有名なNPO団体POSSE(「労働相談を中心に、若者の「働くこと」に関する様々な問題に取り組むNPO」)がいろいろな高校で、出張授業として労働法教育を実践していることをTwitter経由で知り、この取組に深く関わったこられた本田由紀さんがTwitter仲間だったので連絡とったら、そこで中心的な役割を果たしてこられたPOSSE事務局長の川村遼平さんをご紹介頂き、訪問日程の調整を経て、今回の見学と相成った次第。まずは、お二人に多謝!

 さて、今回高1の2クラス(5限と6限各1クラス)で見学した労働法教育で、個人的に一番ヒットだったのは、授業中(その中のグループ討論の最中)に「懐かしい〜」という言葉を発した生徒が、偶然、両方のクラスで複数いたこと。なんや、その「懐かしい〜」って。

 こんなふうに、授業内容の話や講師の教え方の話をしないで、いきなり生徒の私語にフォーカスして授業を振り返るのは、もしかすると、ごく一部の教育さん以外にとっては奇妙なことなのかもしれない。けど、一部の教育さんは、授業見学の際に、何よりも児童・生徒の姿を見ること、声を拾うことに集中する(先生の立ち振る舞いや発問・受けごたえを捉えるのは当たり前)。それは、その授業の意味・無意味は、何よりもまず、その児童・生徒たちの姿や声に基づいて判断できる、その児童・生徒たちの姿や声こそが証拠(データ)になるという考え方からきている。

 てな話はともかく、今回の授業内容の概要は以下のサイトでわかる。今回の授業も、基本的に、このガイドブックに沿ったものだった。
             

http://bktp.org/news/1244


 ところで、この労働法の授業を受けてる生徒が発した「懐かしい」っていったいどういう意味なんでしょう?これって、こういう意味なんじゃね?という話をする前に、これがどういう場面で発話されたかを確認。

 この言葉が耳に入ったのは、授業内で、労基法とかの話が出てきた時のことだった。ある生徒が、「なんか、ほらほら、なんだっけ、労働なんとかとか、社会科の勉強であったことない?ほらほらほら、そうそう、団体交渉権とかなんとか、あれあれ、あれだよ。やったじゃんね、テストで……うわあっ、懐かしい〜。」と来たわけなのだ。

 これ労働三権のことですね。よう勉強したはるわ(さすが進学校)。今回は高1のクラスだったから、つい昨年の高校入試のための受験勉強で暗記した頃のことを思い出したんでしょうねぇ。

 見学した最初のクラスで2名、後の方のクラスで1名、この「懐かしい〜」という言葉を発したたんけど、二人とも女子生徒(そういえば、両クラスとも女子生徒の方が圧倒的に元気だったな)。で、その「懐かしい〜という言葉の意味合いを、その後の表情とか活動の様子をみて考えていたんですよ、教育さんとして。とにかく、こう、なんというか、彼女たち、嬉しそうだったわけです。で、グループでの意見交換にも積極的だった。

 それでこう推察した。彼女たちは、中学の授業や受験勉強では、単に暗記させれられていた/していたにすぎない知識だったのが、ここで、その知識の内実の一端に触れられたことに、また、勉強した知識と社会問題の具体的な事例が結びついたことに、あるいは、無味乾燥と思っても受験のために一生懸命詰め込んだ知識がブラック企業問題とかについて考える上でつながっているということに、ある種の快感を、喜びを覚えたんじゃないだろうかと。

 こんな反応を引き出せる有意味な学習として、労働法教育は可能性あるな、と感じた次第。てのが、教育さんの感想。深読み杉太郎ですかね?(笑)

  これと、この授業で高校生が授業中にした私語の中で印象に残ったのは、ダンダリン(段田凛←漢字調べたわ 笑)。まあ、ことほど左様に、意味のある授業では、私語にも十分意味があるんだよね。タレントの話しかしてないように見えて、ちゃんと考えてる。こういう呟きにレスポンシブに対応しながら授業進めようよ、というのは授業の素人には酷ですけと。

 どこかでまた、POSSE労働法教育の授業を見学に行くつもり。そして、いずれ教育実践の専門家(と自認することを許されるなら)として、上記ガイドブックや授業に関して、もう少しちゃんとコメントするつもり。

 今回お世話になった講師の方々(POSSEボランティアの院生や大学生)、いろいろお世話になっている本田さん、川村さん、ありがとうございました。できれば、今後ともよろしくです。そして、見学を受け入れていただいた某公立高校にも深謝です。