マイケル・アップル ジェームズ・ビーン編著 澤田稔訳『デモクラティック・スクール』第2版

第3章 「子どもが感じていることを中心に:カブリニ・グリーンにおける民主主義とカリキュラム」 ブライアン・シュルツ - [編者序文] 民主主義が教室という場に現れるのは、子ども及び教師にとって注意を払わざるを得ない不正な状況に直面するときであるこ…

『デモクラティック・スクール』第2版から その1

いつもながら、また久々のブログ更新。今回は、シカゴのある小学校における教育実践事例の紹介(翻訳草稿)。出典は以下。Schultz, B.D. (2007). Feelin' what they feelin': Democracy and curriculum in Cabrini Green. In M.W. Apple & J. A. Beane, (Eds…

ブルデューが考える「芸術における普遍」

Pierre Bourdieu and Loïc Wacquant, An Invitation to Reflexive Sociology, Chicago: University of Chicago Press, 1992, p.87 からほんの一部を試訳した。 この本は、もともとこの英語版で出版され、のちに仏語版でも出版されたが、周知(←どこで?)のよ…

仕事で書いた小文⑤:批判的教育学から見た認知的個性

何とも久々のブログ更新f^^;; ツイッターを始めるようになって、ブログを書くモチベーションが下がったこともあるが、それだけでなく、これまで知らなかった他の人のいろいろなブログを読む機会も増え、正直、自分のブログを続けるのが恥ずかしくなったとい…

仲正昌樹:現代ドイツ思想入門1@ブックファースト新宿

以下は、標記のセミナーの聴講メモ。太字部分は主な板書概略。 ドイツ語は全くできないので、標記に誤りが多々あると思われる。その他の誤りに関しても、もしお気づきの点があれば、twitterからお知らせいただけるとありがたい。教育学をやっている自分にと…

愛知県東浦町立石浜西小学校授業研究会

この日、午前中から愛知県東浦町立石浜西小学校でミニ公開授業研究会=拡大校内研修会が開かれた。今回の授業研究会には、岐阜聖徳大学、椙山女学園大学、上智大学合わせて計80名ほどの学生の参加を得て盛況なものとなったが、同時に、上智大学奈須正裕氏、…

映画『戦場でワルツを』

今日、銀座シネスイッチで『戦場でワルツを』(Waltz with Bashir, 2008)を見た。自分の教えている学生にも、ぜひ見て欲しい映画だ。 昨年度アカデミー賞外国語部門受賞の大本命と見られていたイスラエル映画(結局、大穴だったらしい日本映画『おくりびと』…

「見通し・振り返り」学習活動における言語活動充実化のために

・ 個々の子どもの主体性が発揮される単元・授業構成が重要 ・ 指導書やマニュアルに頼らない教師の主体的な試行錯誤が必要 ・ 質の高い言語表現活動を生むには、質の高い問題解決学習が鍵1 子どもの主体性こそが核である 何よりもまず、なぜ「教育課程実施…

仕事で書いた小文④:「見通し・振り返り」学習と言語活動

明けましておめでとうございます。 なんと、1年半ぶりくらいの更新になりました(^^;;)>。この絵文字って、誰に向かって頭を掻いているのか、とも思うのだが、誰にも読んでもらえてはいない埋もれたブログのはずが、カウント数は増えていて、数えると一日に…

仕事で書いた小文③:「探究」型学習のためのコラム

今回もまたまたお手軽更新。仕事で書いた文章のために書いたものの没原稿(^^;;)>。実際に掲載されたものの元バージョン。 文科省webサイトにアップされた新しい学習指導要領解説(「総合的学習の時間」編)を読むと、この没原稿の出だしも悪くはないと思うの…

教育の政治学(2):「公式知」の権力

学会発表の準備でマイケル・アップルの著作を読んでいたところ、ふと以前書いた書評をアップしておいてもいいなと思いついた次第。 以下は、ある学会誌に載った書評のドラフトで、掲載されたものよりもやや長い、元の原稿だ。米国の批判的教育研究という領域…

仕事で書いた小文②:「活用型」カリキュラムのための...

昨日は、アメリカ教育学会第20回大会に参加し、シンポジウムで報告した。シンポジウムの「アメリカ教育における公共性と格差」というテーマは意義があると思うが、議論を深めるにはいろいろ工夫が必要と感じた。自分の報告にはフロアから具体的な反応がなか…

仕事で書いた小文(ドラフト)①:外国語教育と基礎・基本

今日の更新は、「仕事で書いた小文」で(このタイトルは宮台真司ブログのパクリが明らかですが^^;;)。その本では「外国語の基礎基本」というタイトルだった。たまに学生さんも利用するサイトなので、利便性のためにここにアップする次第。 所収は、浅沼茂編…

ウィーン・アルバン・ベルク弦楽四重奏団フェアウェル・コンサート

今回は非常にオタクな話題。誰か、こういうオタッキーなファンと盛り上がりたいのだが、なかなか相手がいないので、一人日記で振り返り。 アルバン・ベルク弦楽四重奏団(ABQ)の解散記念ワールドツアーの日本公演、愛知県芸術センターコンサートホールでの演…

個別化・個性化教育(4):愛知県東浦町立石浜西小学校授業研究会

日本の個別化個性化教育の先進地域と言ってよい愛知県東浦町において、つい数年前まで困難校と言われながら、二教科同時進行単元内自由進度学習のカリキュラムづくりを開始し、いまやこの実践やそのための学習環境整備の充実ぶりには目を見張るものがある石…

教育の政治学(1b):カリキュラム・グローバリズムの政治学

ここに載せる文章は、2008-03-28の日記に書いたことをもとにした原稿だ。アメリカ教育学会会報第28号に掲載されたものの一部訂正版になる。屋上屋を架すようなことになるが、前回日記よりも文章としてのまとまりを意識して仕上げたのものなので、のっけて…

ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踏団 「フルムーン』 

初ピナ・バウシュ体験。圧倒的。 私は舞踏を知らない。だから、比喩的にしか言えない。その上で、敢えて言うのだが、そこには全てがあった。 清廉も猥雑も、そのような二項対立の批判も。アダージョもスケルツォも、カデンツァもアンサンブルも、反復も裏切…

個別化・個性化教育(3):全国個性化教育連盟春季研究会

昨日3月29日上智大学で開かれた全国個性化教育連盟(4月から日本個性化教育学会)の春季研究会に出席し、3月28日に告示された学習指導要領(幼稚園、小学校、中学校)に関する解説、及び、「習得・活用・探究」(特に「活用」やPISA型学力)という観点から…

教育の政治学(1):コスモポリタニズム論と包摂・排除のメカニズム

もう2週間以上も更新が途絶えてしまいました。ヒット数が増えているということは、わずかながらも読んでいただいている方がおられるようなので、最初に一言お詫び申し上げますm(_ _)m。 で、ここからは、またいつもように軽めの常体文で失礼。まず、今後の…

「マル激トーク・オン・ディマンド第362回」視聴

ビデオ・ニュース・ドットコム、マル激トーク・オン・ディマンド 第362回(2008年03月08日)「格差が少子化を加速させる」を視聴した。この番組はインターネット配信で、ジャーナリストの神保哲生氏と社会学者の宮台真司氏がパーソナリティを務める週刊コラ…

個別化・個性化教育(2):東海個性化研究会定例研修会から[下]

ちょっと学年末の業務その他で、間があいたが、前回の続き。 つまり、なぜいま週プロ=二教科同時進行単元内自由進度学習なのか、という点に関して考えておきたいと思う。要するに、週プロの意義、について。 この点は、前回日記で書いた研究会では、時間の…

二教科同時進行単元内自由進度学習

これは、個別化・個性化教育の方法論の一つで、一斉授業方式のように、教師が子どもに板書・資料提示や発問によって教えるということを中心に授業を組み立てるのではなく、教師(多くの場合、複数の教員がタッグとかチームを組んで)が準備した多種多様な学…

週プロ(週間プログラム学習)

この業界で週プロと呼ばれる自由進度学習に関する実践発表会だった。愛知県東浦町は、知多半島の付け根、半田市の北に位置するが、知る人ぞ知る小学校教育における進歩主義教育の先進地域だ。オープン・スクール(個別化・個性化教育を、オープンスペースを…

個別化・個性化教育(1):東海個性化研究会定例研修会から[上]

昨日、第15回 東海個性化研究会定例研修会(平成20年2月23日(土)@東浦町文化センター)に参加した。

批判的教育研究とCritical Pedagogy:アップルとジルー

ところで、この論文のCritical Pedagogyにどういう訳語をはめるかということだけでも、いささかやっかないところがある。この用語がアメリカの教育学で広く用いられるようになったのは、パウロ・フレイレに乗っかる形でヘンリ―・ジルーがこの用語を自分の著…

マイケル・アップル(Michael Apple)の論文翻訳

いま頼まれ仕事で、Michael W. Apple and Wayne Au, "Politics, Theory, and Reality in Critical Pedagogy" という論文のT氏(いまアップルが絶大な信頼を寄せる日本人のお弟子さん)による翻訳に手を入れている。翻訳者T氏からはもうかなり前に原稿を送っ…